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大物として余裕たっぷりに振る舞うには、もちろんリラックスしていることが第一条件となります。いつも緊張している大物など、どこにもいません。 しかし、緊張しがちな人が必要以上に「リラックスしよう」と考えるのは、逆効果になってしまいます。 これを心理学では「アイロニック効果(皮肉効果)」といわれます。 まさしく皮肉なことですが、人はリラックスしようと努力すればするほど、逆に緊張してしまうものなのです。 アイロニック効果の代表的な例をあげてみましょう。 「いまから10分間、白クマのことをいっさい考えてはいけません」 こう言われると、人はどうしても白クマを頭に思い浮かべてしまいます。 意識しちゃいけないと思うほど、意識するものです。それが人間なのです。 だから、火災現場などでパニックになっている人に対して「落ち着け!」と命令すると、余計にパニックを助長することになります。「落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ」という焦りが、そらなるパニックを生むだけなのです。 こういうときには「落ち着け」ではなく「大丈夫」という言葉をかけてあげるのがベストなのです。もし、仕事で失敗してパニックになっている部下がいても、命令口調で「落ち着け」と指示するのではなく、ただ低く落ち着いた声で「大丈夫」と声をかけるようにしましょう。 同じく、結婚式のスピーチなどでも「声が震えないようにしなきゃ」「手が震えないようにしなきゃ」「リラックスするんだ」と思うほど、声はうわずって手も震えてしまうものです。こういうときにも、ただひと言「大丈夫」と自分に言い聞かせるだけでいいのです。 当時、横綱だった貴乃花がインタビューに答え、「自分の目標は自然であること」という話をしていました。土俵上でも土俵の下でも、いつも同じ精神状態で自然でいられるのが究極の目標だ、ということでした。 そして彼は「でも自然という言葉を口にした途端、もう不自然になってしまう」と語っていました。これはまさにアイロニック効果です。 結婚式のスピーチでもまったく緊張のない人がいますが、それは、結婚式のスピーチ用のネタをたくさん持っているからで、「これがあれば大丈夫」という思いがあるからでしょう。 人と会うときにはどうしても緊張してしまうという人は、こうした「これがあれば大丈夫だ」「もしこのネタがウケなければ、こっちのネタを持ってくれば大丈夫」というネタをいくつもストックしておくといいでしょう。 |
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